温泉に入って体の芯まで温まり、湯冷めしにくいと感じたことはありませんか?それはもしかしたら、「塩泉」かもしれません。塩分がお肌にヴェールを作り、入浴後の温かさを長持ちさせてくれる、まさに「熱の湯」とも呼ばれる泉質です。今回は、この塩泉の魅力と、その恩恵を受けられる日本の名湯をご紹介します。
塩泉ってどんなお湯?
塩泉は、その名の通り温泉成分として塩分を多く含む温泉です。ちょっぴりしょっぱい味がするのが特徴。この塩分が、お湯に浸かることで肌の表面に薄い膜を作ります。この膜が、汗の蒸発を防ぎ、体温をしっかりと閉じ込めてくれるため、体の芯からポカポカと温まり、湯冷めしにくいという嬉しい効果をもたらしてくれます。まるで天然の保湿クリームを塗ったかのような感覚で、湯上りのお肌もしっとりするのも魅力です。
保温効果が非常に高いため、「熱の湯」と呼ばれ、冷え性や血行促進に効果が期待できます。また、海水に近い成分を持つものもあり、リラックス効果や美肌効果も期待されています。塩泉は海に近い地域で多く見られますが、中には内陸に湧く温泉地もあります。
温もりと観光を楽しむ!日本の代表的な塩泉を巡る旅
それでは、塩泉で知られる日本の名湯地を訪ねてみましょう。それぞれの土地ならではの魅力や観光スポットにも触れながらご紹介します。

1. 登別温泉(北海道)- 多様な泉質の中に光る塩化物泉の保温力
北海道の有名温泉地、登別温泉は「温泉のデパート」と呼ばれるほど多彩な泉質を持ちますが、塩化物泉もその一つです。地獄谷のダイナミックな景観と共に、硫黄泉などが注目されがちですが、塩化物泉の湯船に入れば、その保温効果で体の芯からじっくり温まることができます。様々な泉質を巡りながら、塩化物泉のポカポカ効果を実感してみるのも良いでしょう。
登別温泉の見どころは何といっても「地獄谷」。立ち上る噴気や温泉を間近で見ることができます。また、可愛らしいクマに出会える「のぼりべつクマ牧場」や、江戸時代の街並みを再現した「登別伊達時代村」など、観光施設も充実しており、一日を通して楽しめます。
登別温泉の観光情報は、登別国際観光コンベンション協会公式サイトをご覧ください。
2. 黒川温泉(熊本県)- 趣ある露天風呂と一体感のある温泉街
熊本県の阿蘇の山あいにある黒川温泉は、里山の風景に溶け込むように旅館が点在する、風情豊かな温泉地です。「入湯手形」を持って露天風呂巡りを楽しむスタイルが人気。黒川温泉の多くの源泉は単純温泉や硫黄泉ですが、一部には塩化物泉も含まれており、肌触りの優しいお湯ながらも体の温まりが良いのが特徴です。統一された街並みは歩いているだけでも癒されます。
黒川温泉では、各旅館の個性豊かな露天風呂を巡る「湯めぐり」が最大の魅力。それぞれの露天風呂が自然の景観を巧みに取り入れており、趣が異なります。温泉街にはおしゃれなカフェや土産物店もあり、散策も楽しめます。少し足を延ばせば、阿蘇の雄大な自然を満喫することもできます。
黒川温泉観光の詳しい情報は、黒川温泉公式サイトでご確認いただけます。
3. 玉造温泉(島根県)- 美肌効果で知られる「神の湯」
島根県にある玉造温泉は、奈良時代から「神の湯」と呼ばれ、特に美肌効果で知られる古湯です。『出雲国風土記』にも記述が残るほどの歴史を持ちます。玉造温泉の泉質は硫酸塩泉ですが、塩化物泉の成分も含まれており、このバランスの取れた成分が「浸かる化粧水」と称されるほどの美肌効果をもたらすと言われています。湯上り後の肌のしっとり感は格別です。
温泉街を流れる玉湯川沿いには、旅館やショップが立ち並び、浴衣を着て散策するのがおすすめです。願いを叶えると言われる「玉作湯神社」や、温泉水を持ち帰れる「湯薬師広場」など、美肌と縁結びのパワースポットが点在しています。出雲大社からも比較的近く、合わせて観光するのも良いでしょう。
玉造温泉の美肌の秘密や観光スポットについては、玉造温泉公式サイト たまなびをご覧ください。
4. 鳴子温泉郷(宮城県)- 多彩な泉質を持つ湯治場の塩化物泉
宮城県の北部に位置する鳴子温泉郷は、異なる泉質を持ついくつかの温泉地が集まったエリアです。その中でも鳴子温泉地区などには塩化物泉があり、古くから湯治場として栄えてきました。塩化物泉特有の保温効果に加え、他の成分との組み合わせにより、様々な体の不調に良いとされています。泉質が豊富なため、自分の体調に合ったお湯を選べるのが鳴子温泉郷の魅力です。
鳴子温泉郷周辺には、ダイナミックなV字渓谷が美しい「鳴子峡」があります。紅葉の時期は特に多くの観光客で賑わいます。また、こけしの工人さんが多く、伝統的な鳴子こけしの絵付け体験なども楽しめます。湯治文化が息づく温泉街で、心身ともにリフレッシュする旅ができます。
鳴子温泉郷の各温泉地の情報やイベントは、鳴子温泉観光協会公式ホームページで確認できます。
5. 熱海温泉(静岡県)- 海辺のリゾートで楽しむ塩化物泉
静岡県の伊豆半島の付け根に位置する熱海温泉は、海沿いの温暖な気候と豊富な湯量を誇る温泉リゾートです。古くから徳川家康も湯治に訪れたとされる歴史ある温泉地で、その泉質の中心は塩化物泉です。体を芯から温め、湯冷めしにくい「熱の湯」であることに加え、海の近くというロケーションもあり、潮風を感じながら温泉を楽しめます。
熱海温泉では、オーシャンビューの露天風呂や、歴史ある共同浴場など、様々な施設で温泉を楽しめます。また、年間を通して開催される熱海海上花火大会は圧巻で、多くの観光客を魅了します。MOA美術館や起雲閣などの文化施設、そして新鮮な海の幸を味わえる食事処も豊富で、温泉と観光を組み合わせた滞在が満喫できます。
熱海温泉の温泉情報や観光案内は、熱海市公式ウェブサイトをご覧ください。
ポカポカ効果で心も体も温まる塩泉の旅
塩泉は、派手さはないかもしれませんが、じんわりと体の奥から温めてくれる頼もしい泉質です。肌への保湿効果も期待できるので、乾燥が気になる季節にも特におすすめです。
今回ご紹介した温泉地は、それぞれに異なる魅力を持っています。歴史ある温泉街を散策したり、雄大な自然を満喫したり、美味しいグルメに舌鼓を打ったりと、塩泉の効果と合わせて様々な楽しみ方ができます。
次の週末は、塩泉の優しい温もりに包まれながら、日本の美しい風景と文化を巡る旅に出かけてみませんか?きっと、体の芯だけでなく、心までポカポカになるはずです。
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