同じ着物・帯でも、小物ひとつで印象が変わる
着物と帯が決まったあと、最後に悩む人が多いのが帯締めと帯揚げの色選びです。実はこの小物の色ひとつで、同じ着物・同じ帯であっても見え方がまったく変わります。華やかにも、落ち着いた雰囲気にも、品よく見せることもできる、着姿の印象を最後に仕上げる部分です。
今回は、帯締め・帯揚げの色をどう選べばよいのか、年代や場面に応じた考え方と、選ぶときに押さえておきたいポイントを整理してみます。
帯締め・帯揚げが表現しているのは「年代」「場所」「着物との相性」
帯締めと帯揚げの色で何を表現しているかというと、大きく分けて①着る人の年代②着ていく場所③着物との相性の3つです。
同じ着物・同じ帯であっても、小物を明るく華やかな色にすれば20代でも着られますし、40〜50代であれば少し落ち着かせた色、60〜70代になるとさらにシックで品のよい色、というように段階を踏んでいきます。色の方向性をシンプルに言うと、年代が上がるにつれて色を少しずつ地味にしていくと、その年代に合った雰囲気が自然に
ただし、これはあくまで目安です。小物の色合いは、着る人によっても似合い方が変わります。年齢を重ねてもピンクが似合う方もいますし、その場合は年代の目安よりも、その人に似合うかどうかという相性を重視して選んでもらってかまいません。
さらにこだわりのある人になると、帯締め・帯揚げの色を季節によって変えることもあります。これは上級者ならではの楽しみ方といえるでしょう。なお、帯締めの色に関しては、着物の色合いに合わせておくと無難にまとまります。
まず押さえておきたいのは「フォーマルかカジュアルか」
帯締め・帯揚げの色選びで最も気をつけたいのは、配色の組み合わせそのものよりも、フォーマルな場面かカジュアルな場面かを取り違えないことです。帯締め・帯揚げにはフォーマル向き・カジュアル向きの違いがあり、ここを間違えると、色の相性がよくても場にふさわしくない印象になってしまいます。色選びを考える前に、まず「どの場面で着るものか」を確認しておくことが、遠回りのようで実は一番の近道です。
慶事のフォーマルで押さえたい帯締め・帯揚げの基準
結婚式やお茶会、式典など、慶事(お祝いの場)でのフォーマルな装いでは、帯締めは平たい形の「平組」のものがふさわしいとされています。帯揚げについては、グレーのような沈んだ色は避け、明るめの印象の色を選ぶほうが、慶事らしいフォーマルな雰囲気が出やすくなります。年代による色の選び方は、先に紹介した「年代が上がるほど少し地味にしていく」という考え方がそのまま当てはまります。
格の話でいうと、訪問着に白の帯締め・帯揚げを合わせると格が一段上がりますし、色無地は帯締め・帯揚げの選び方次第で格を上げることも、逆に控えめにすることもできる着物です。小物が着姿の格を左右する範囲は、意外と広いということがわかります。この「小物で格が変わる」という関係は、草履やバッグの選び方にも通じるので、草履・バッグの選び方から着物の格と小物の関係を解説した記事もあわせて読んでみてください。
季節感を添えるという選択肢
帯締め・帯揚げは、年代や場面だけでなく季節感を添える道具としても使えます。「春らしい色」「秋らしい色」というように、色の選び方で季節感を表すこともできます。先に触れた「季節によって帯締め・帯揚げの色を変える」楽しみ方は、こうした色選びの延長線上にあるものです。
通販で選ぶときに知っておきたいこと
帯締め・帯揚げは実店舗だけでなく、通販で選ぶこともできる小物です。通販は品数が豊富で、自宅でじっくり比較できるという心強い選択肢です。一点だけ知っておくとよいのは、画面に表示される色は、ディスプレイの機種や設定によって実物と完全には一致しないということです。届いた品物の色が、画面で見たときより少し明るく感じられたり、落ち着いて見えたりすることもあります。「多少イメージと変わることもある」とあらかじめ心構えをしておけば、受け取ったときのギャップも小さくなるはずです。
まとめ
帯締め・帯揚げの色選びは、①年代②場所③着物との相性という3つの視点で考えると整理しやすくなります。そして色の組み合わせ以前に、フォーマルかカジュアルかというTPOを間違えないことが何より大切です。慶事のフォーマルな場面での基準(平組の帯締め、明るめの帯揚げなど)を押さえつつ、季節感は「春らしい色」「秋らしい色」といった形で表すこともできます。
この記事を書いた人
絹路(Kinuji)。呉服の現場に15年以上携わってきた経験をもとに、着物にまつわる知識を発信しています。




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